インフルエンザを知ろう!症状と治療・予防法まで
だんだんと肌寒さが増して、冬の近づきを感じる季節になりましたね。
各医療機関ではインフルエンザワクチンの接種を呼びかけ始めているのではないでしょうか。
インフルエンザとはインフルエンザウイルスに感染し、発症するウイルス性呼吸器感染症です。
強力な感染力があり、毎年、秋〜冬にかけて流行がみられます。
さて、インフルエンザとはどのような病気なのでしょうか?
主な症状
- 38〜40度前後の高熱
- 悪寒(寒気)
- 頭痛
- 全身倦怠感
- 関節痛
1〜3日の潜伏期間後、悪寒を伴う高熱、全身倦怠感など全身症状を伴う急激な体調の変化で発症することが多いです。
また、咳や鼻水といった呼吸器症状や、食欲不振、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢などの症状がでる場合もあります。
症状は、流行ウイルスの種類などによってさまざまですが、合併症がない場合、1週間〜10日ほどで軽快します。
乳幼児は重症化しやすく、高熱による熱性けいれんなどにも注意が必要です。
※小児の場合、急に走りだしたり、ウロウロと歩きまわるなどの異常行動が見られる場合があります。
自宅療養の場合、少なくとも発症から2日、できることなら解熱するまではお子さんが1人きりにならないように配慮してください。
合併症
(1)インフルエンザ脳症
発熱後24〜48時間で急激に体調が変化し、意識障害、けいれん、異常言動・行動などが高頻度で現れます。
主に1歳から5歳に発症が見られます。
インフルエンザ脳症は年間100〜200人ほど発症していると言われています。
そのうち1~2割が亡くなり、3~4割に後遺症が残ると言われています。
しかし、最近は治療法が進み死亡数や後遺症が残る数は減ってきています。
原因はインフルエンザに罹った時に過剰な免疫反応が起こるためと考えられています。
(2)肺炎
咳が出たり、38℃以上の高熱が1週間以上続きます。
心臓や呼吸器に慢性の病気を持っている方などがインフルエンザ発症後、肺炎を合併しやすいといわれています。
インフルエンザ発症後、5〜7日経っても熱が下がらなかったり、咳がひどくなってきた場合は、早めに受診しましょう。
(3)心筋炎
発熱、咳、全身の倦怠感など風邪に似た症状に続き、動悸、不整脈、呼吸困難、胸痛などの症状があらわれます。
小児の心筋炎は急速に悪化しやすく、警戒が必要です。元気がなく、ぐったりしていれば、重症化の兆候なので急いで受診しましょう。
頻度としては非常にまれですが、致死的な合併症となることがあります。
原因は?
- インフルエンザウイルス
- 飛沫感染・接触感染
インフルエンザウイルスは大きくA型、B型、C型に分類され、以下のように症状が異なります。
*A型(感染力が強く流行の原因となりやすい)
- 一気に熱が上がり、高熱(38〜40度)
- 喉の痛み
- 関節痛、筋肉痛を感じやすい
ウイルスが突然変異しやすく、沢山ウイルスの種類があり、毎年かかることもある。
*B型(A型より症状が比較的軽い)
- 微熱(37〜38度)程度だが中々下がりにくい
- 腹痛や下痢など消化器系の症状がでやすい
ウイルスが変異しにくいため、ワクチンによる予防が可能。
※A型、B型の症状は一般的にこのように言われていますが、実際は症状に大きな差はなく症状だけでA型とB型を見分けることはできません。
*C型(軽い症状ですむことが多い)
- 微熱程度
- 鼻水が多量にでる
ウイルス変異が無く、一生のうちに1度だけ、ほとんどの人が幼児期に感染する。2回かかることは稀。
このように、様々な種類のウイルスがあるため、A型に感染した後に今度はB型に感染ということが起きたり、稀ですが、A型とB型に同時にかかることもあります。
治療方法
ウイルス性の感染症に抗生物質は効果がなく、対症療法が主体になります。細菌性の肺炎などを合併している場合は、抗生剤を使用します。
特異的な治療法として、抗インフルエンザ薬(タミフルやリレンザ、イナビルなど)がありますが、処方される薬の量や種類は、個人によって異なり、発症2日以内の使用開始が効果的です。
これらの薬の服用と共に、安静にしながら体を休めましょう。
日常生活での注意点
*入浴
お風呂はなるべく入らないようにしましょう。
お湯でタオル等を濡らして身体を拭くとすっきりするでしょう。
*食事
無理せずに消化吸収の良い食べ物を摂るようにしましょう。
高熱による脱水防止や水分を摂ることで発汗し解熱を促すためにも水分補給は大切です。
*外出について
発熱から7日間、または熱が下がってから2日間は外出禁止期間と捉えた方が良いでしょう。
インフルエンザは学校保健安全法では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」を出席停止期間としています。
ただし、病状により学校医その他の医師が「感染のおそれがない」と認めたときは、この限りではありません。
熱が下がったとしても、まだ体内にウイルスは潜伏しており他の人に感染させてしまう危険性があります。
そのため、発症した場合は完治するまで外出を控えることが大事です。
予防法は?
- 外出後や食事前の手洗い・うがいをしっかり行う
- マスクを着用する
- 室内の湿度を50〜60%に保つ
- 適度に部屋の換気をする
- 栄養のある食事や睡眠をしっかりとり免疫力を高める
- ワクチンによる予防接種を受ける
インフルエンザウイルスは低温、低湿、乾燥を好むため、加湿器の使用や濡れたタオルを部屋に干すなどして、湿度に気をつけるとよいでしょう。
また、インフルエンザは予防することが可能な病気です。
流行が予測される前に予防接種を受けたり、日頃から免疫力を高め、感染しにくい環境作りを心がけましょう。