麻疹(はしか)から子どもを守ろう
全国的に麻疹(はしか)の報告が出ているようです。
先日の報道でも話題になっていましたが、8月14日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催された海外アーティストのコンサートに訪れていた方が、その後、麻疹と診断されました。
>>コンサート訪れた男性 はしかと診断 患者増える可能性 千葉 | NHKニュース
参加者は2万5千人の大規模コンサートで2日間の東京公演のみだったので、同じ日に九州地方からも参加された方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、今回は麻疹(はしか)について解説します。
麻疹(はしか)ってどんな病気?
さきほどの千葉でのコンサートに参加された方の例ですが、
7月31日から8月5日までバリ島に旅行。
帰国後8月9日に発熱し医療機関に受診するも麻疹の診断には至りませんでした。
12日腕や顔に発疹が出現し、18日に麻疹と診断されました。
その間、発症中もバイトやサークルに参加し、14日幕張メッセで開催されたコンサートに出かけています。
潜伏期間(10〜12日)を考えると、その時にその方と接触やすれ違いがあったら、発症する時期(まず熱)になってると思われます。
この方は予防接種はしておらず、他の兄弟も予防接種してなく現在家族内4人発症しているとのことです。
<感染経路>
感染経路は空気中に漂う小さな飛沫核による空気感染で強い感染力を持っています。
空気感染ですから同じ部屋などにいるだけでも、場合によってはすれ違うだけでもうつる可能性があります。
<症状>
接触があって10から12日したら発熱し喉が赤くなり、目が充血し、咳が出ます。
2 〜3日で一度熱が下がります。
しかし24時間以内に再度高熱が始まり、この時に全身に麻疹の発疹が出現します。
高熱は1週間ぐらい続き、水分も食事も摂れなくなりことが多く、 合併症がなくても入院になることがよくあります。
<合併症>
合併症は全身に及び、中耳炎、肺炎、心筋炎、脳炎などがあります。
麻疹のウイルスはリンパ球に感染して一過性に免疫不全を起こすため細菌感染を合併します。
合併症の肺炎が原因で亡くなる場合もあります。
脳炎は1000〜2000人に1人に発症し、15%は死亡、20〜50%は後遺症を残します。
亜急性硬化性脳炎という病気になりこともあります。
これは麻疹にかかって6〜8年たって性格の変化、退行現象、けいれんなどが出現し、徐々に進行し最後は不幸な転機になっていきます。
麻疹の死亡率は0.2%で主な原因は脳炎、肺炎、脱水です。
特効薬はなく対処療法と合併症の治療になります。
予防接種で麻疹から守ろう
予防接種を2回すると99%免疫ができます。
日本では2006年から2回接種(1歳と就学前)になり、2008年から5年間、中学1年と高校3年に臨時の定期接種を行いました。
その結果年間のはしかの患者数は200から400人台となり、WHOは2015年日本を麻疹排除状態にあると認定されました。
最近はアジアなどへ海外旅行などの増加に伴い、現地で麻疹に感染して帰国してしまったことが原因の散発的に小流行が報告されています。
患者さんは多くがワクチン未接種です。
国内での大流行はなくなり予防接種いらないのではと考えるかもしれませんが、今後も海外に行き来する機会が多くなると、麻疹にかかった人と接触する危険性は増えるかもしれません。
どうしても自分や子どもたちはご自身で守る必要があります。
そのためにも麻疹の予防接種を是非受けてください。
定期接種において下記の対象年齢のお子さんは無料で接種できます。
- 1歳から2歳の誕生日前日まで
- 年長(来年小学1年生になるお子さん)の4/1〜3/31まで
また接種してない人も自費になりますが年齢の制限はありません。
各医療機関によって費用は異なりますが、一般的に約1万〜1万5000円で接種できます。
当院では接種する場合は下記の通りです。
麻疹風疹混合ワクチン | 10,000円 |
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麻疹単独ワクチン | 7,600円 |
予防接種は事前にご予約が必要です。
ご希望の方は当院までお電話ください。
自分のため、周囲の人のために是非受けてください。