赤ちゃんのために知っておこう。B型肝炎とは?
2016年10月から1歳に至るまでの(1歳のお誕生日の前の日まで)乳児の「B型肝炎ワクチン」が無料になることを知っていますか?
今回は、日本人が最も感染すると言われる『B型肝炎』についてお話したいと思います。
B型肝炎とは?
B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することで肝臓の細胞に炎症が起こり、肝細胞が壊される病気です。
主な症状
・全身の倦怠感
・食欲不振
・吐き気
・発熱
・褐色尿(濃いウーロン茶様)
・黄疸(皮膚や目の白目の部分が黄色くなる)
・右背部の鈍痛や叩打(こうだ)痛
約1〜3カ月の潜伏期間のあと症状が現れます。
感染しても、肝炎とわかるような症状がみられるのは30〜40%で残りは自然治癒しますが、免疫を抑える薬をのんでいる場合などによっては、慢性化する可能性があります。肝炎が進行し重症になると、肝硬変、肝癌へと進展することもあるようです。
また、1%以下といわれていますが、劇症肝炎と呼ばれる重い状態に進行する場合があります。
*免疫力が発達していない乳幼児期に、HBVに感染すると抗体ができず、ウイルスは体のなかに存在し続けることになります。これを持続性感染といい、無症候性キャリア(HBVキャリア)といいます。
症状が出ないため気づきにくいので、他の子どもにも移してしまうという恐れもあります。
ある時期までは肝炎を発症せず、健康なまま経過しますが10〜30代のうちに肝炎を発症します。
感染経路
【垂直感染】
・母子感染
【水平感染】
・乳幼児期に口移しの食事
・傷口からの出血
・保育施設での嚙みつき事故などによる集団感染
・注射器の使い回し
・体液(性交渉など)
・輸血
現在は母子感染予防対策により、母子感染は防げるようになっていますが、上記のように保育施設や家庭内など日常生活の中で感染することがあります。
血液だけでなく、確率は低いですが唾液からも感染するという特徴をもっています。
治療法や予防法は?
【治療法】
・横になって安静が必要
・水分や栄養補給のための点滴
基本的には無治療で自然にHBVが排除されるのを待ちます。
しかし、劇症肝炎など命にかかわる強い肝炎の場合は抗ウイルス薬投与などを行います。
【予防】
・予防接種
・B型肝炎ウイルスチェック
B型肝炎ワクチンは、将来、肝臓がんからお子さんの命を守る「肝臓がん予防ワクチン」の役割を担います。
定期接種化されたことからも、子どもにとって大切なワクチンであることがわかります。
ワクチンの効果は20年以上続くと言われ、乳児のうちに接種した場合後年追加接種は必要ないと言われています。
予防接種の中でも副作用の危険が少ないといわれており、副作用が現れるのはごくまれで、現れたとしても接種部位が赤くなるくらいですみます。
B型肝炎は自覚症状が出にくいことから、他の人に移し、移されやすい病気です。
しかし、ウイルスチェックや予防接種で防ぐことができるので、早めの対処を心がけ大切なお子様の将来を守りましょう。